2013年04月08日

4月6日 相馬高校放送局作品上映会に行ってきました

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「今 伝えたいこと(仮)」他
福島・相馬高校放送局作品上映&トーク・交流会

2013年4月4日〜6日
(4/4長崎・4/5水俣・4/6熊本)

【主催】相馬高校放送局九州招聘実行委員会
    http://soumahigh9syu.wordpress.com/
    熊本大学 石原明子准教授(紛争解決/平和構築学)

【ゲスト】福島県立相馬高校放送局顧問 渡部義弘先生
     制作、出演の放送局部員2名

【熊本でのプログラム】
◎下記作品の上映
◎参加者を小グループに分け、感想やゲストへの質問を話し合うワークショップ
◎ゲストと学生スタッフによるトーク交流会&質疑応答

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『みなみ風吹く日』
(若松丈太郎「北緯37度25分の風とカナリア」より)

1970年代から原発に対して警鐘を鳴らしてきた詩人・若松丈太郎氏の
「みなみ風吹く日」の朗読。
(この詩は連作で、1は1992年、2は2008年に書かれている)

 岸づたいに吹く
 南からの風がここちよい
 沖あいに波を待つサーファーたちの頭が見えかくれしている
 福島県原町市北泉海岸
 福島第一原子力発電所から北へ二十五キロ
 チェルノブイリ事故直後に住民十三万五千人が避難したエリアの内側
  ・
  ・
 世界の音は絶え
 すべて世はこともなし
 あるいは
 来るべきものをわれわれは視ているか

※この詩を掲載しているサイトは多いので、検索してぜひ全文を読んでください。
↓こちらはそのひとつ
■ほくと未来ネットワーク
 http://mirainet.exblog.jp/14901310/
 「みなみ風吹く日」原発から30キロの場所に住む人の詩

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『our(un)ordinary』
2011年6月制作(テレビドキュメント・8分)

「私たちの非日常な日常」をテーマに、震災・事故後の福島の風景を撮影し、
その状況下での学校生活を紹介。震災当時のことを生徒や先生にインタビューした映像も。

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『大塚稲荷神社 神楽』

震災後に復活した大塚稲荷神社の神楽の様子を撮影して紹介。

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『緊急時避難準備不要区域より』
2011年6月制作(ラジオドキュメント・7分)

放送局部員が自身の母親と祖母にインタビューして制作した音声作品。
原発から20kmの南相馬市。緊急時避難準備区域から外されたこの地域は
2011年6月時点で空間線量0.6μSv/h(※)が観測されている。
ガイガーカウンターのアラームが鳴り続ける。
「ここは他より線量が低いから大丈夫」

家庭菜園が趣味だという祖母へのインタビューより
「若い人、子どもたちが心配」
「自主避難したって自分のお金だから…」
「畑を作ってもいいと言われても信じられない。
 心配で作る気がしない。何を信じたらいいのか。内部被曝なども…」
「大丈夫と一方的に言われるので避難できない」

母親へのインタビューより
「安全と言われてるために翻弄されている。
 これで何年か後に子どもの病気が増えてきて
 そこで(本当に安全だったかが)わかる」

心から国を信じられればいいのに。
人生80年と考える方が間違っている。
私には今を生きることしかできない。

※チェルノブイリの現在の立入禁止区域入り口の線量が0.23μSv/h。
 0.25以上は原発施設の中でも厳重な管理区域となる。

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『(non)fiction』
2012年6月制作(ラジオドラマ・8分)

震災発生からの様子を、教室内を舞台に展開する音声ドラマ。
生徒や先生のやりとりがリアリティを持って伝わってくる。
国や電力会社の対応、御用学者と言われる電力会社側の専門家の当時の発言などもあり、
原発事故の混乱の様子や国の無策ぶりが浮き彫りにされている。
ラストのセリフからは日本国内の他の原発の安全性に対する疑問を投げかけられる。

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『Girl’s Life in Soma』
2012年8月制作(テレビドキュメント・8分)

震災以降の相馬高校の生徒たちの心の動きを描くドキュメント。
相馬市内のモニタリングポストの線量のカットインが
彼らが置かれている状況を静かに伝えている。
馬陵公園0.4μSv/h。
その中で生きる高校生たちが何を感じ、どう考えているか。

「放射能なんて怖くない。
 本当は怖いけど、怖くない。
 差別なんかされてらんない。
 差別されても負けない。
 何が何でも楽しく生きてやる。
 だって、女子高校生だもん。」

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『今 伝えたいこと(仮)』
2012年初演(演劇作品DVD)

〈あらすじ〉
東日本大震災から1年。
放課後、仲良し女子高生三人組の麻希、望美、桜がいつものように雑談に興じる。
否応なしに出て来るのが震災と原発の話題。
そこには、今を生きる女子高生の本音が表れる。
下校時間になり、教室にたった一人残った望美が言う。
「福島か、放射能か、こんなの嫌になっちゃうよ」
望美はその夜自殺する。
明るく振る舞っていたのに、なぜ?
次第に明らかになる、それぞれが置かれている環境、そして深層心理。
震災後1年を経ても、みんな腫れ物にさわるように、
お互いの被災状況に触れずに過ごしてきたのだった。
麻希は、望美が警戒区域から転校してきたこと、津波で家族を全員亡くしたこと、
酪農家に引き取られたことを知る。
さらには、ネットに書き込まれていた差別的発言も。
「原発ある福島県民は放射能まみれワロター」
「マジ福島とか被害者ぶってんじゃねーよ」
「放射能の海に閉じ込めておけ、こっち来んな」…

〈放送局部員による解説〉
・タイトルの(仮)は、伝えたいことが変わっていくという思いからつけた。
・自分たちが震災にあったのは中学の卒業式のとき。
 そのため入学時は高校の制服が準備できず生徒たちは中学の制服を着ていた。
・震災のことは禁句になっていた。演劇のために生徒同士で震災のことを話した。
 みんな思っていることが実はたくさんあった。
・実体験をもとに脚本を書いた。
・本当は未来へとか絆とか明るい終わりにするつもりだったが、
 自分たちがおかれている状況が良くないのでハッピーエンドにしたら
 この話はここで終わってしまうと思ったので、いまの終わり方になった。

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▼上映会中の発言で印象に残ったもの▼

石原明子准教授
「若松丈太郎氏は『原発と言うとわかりにくくなる、これは核による災害』と仰っていた」
「水俣と同じことが起ころうとしているという危惧がある」
「(被災地の人と話したときのことで)
 支援する、支援されるという言葉は嫌いだと言われた。『友だちだよな』と言われた。
 被災地の人たちに対して『隣人(となりびと)』でいられるか、ということと
 向き合わされている」

渡部義弘先生
「自分は福島ではずっとマスクをしている。
 山下(※)が福島に関わっている限り、リスク管理は自分でしなければならない。
 意思表示としてマスクをつけている」
 ※長崎大学大学院教授・福島県立医科大学副学長の山下俊一のこと。
  福島県放射線健康リスク管理アドバイザーを務めているが
  「放射能は笑っている人にはきません」など問題発言が多く、
  電力会社や国のために都合のよいことを言う「御用学者」といわれている。

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▼トーク交流会・質疑応答▼

Q 福島県での反応はどうでしたか?

A 大人が言えないことを言ってくれて嬉しかったという意見がありました。

Q 会場にいる人も同じだと思いますが、私たちができること、
  何か私たちにしてほしいと思うことはありますか?

A 同じ福島県でも状況がすごく違います。
  何を求めていいのかもわからないような現状を伝えることしかできないのかな…と。
  そういうことを知っていただくというか…。
  多くの人が実際に被災地に来ていただいてると思いますが
  まだ来たことのない方は福島にきて他の人のことも聞いてもらえたら…。

Q 高校生にあまり見せていないということですが、それは意図的にですか?

A 「一緒に考えようよ」という気持ちはありますが…。
  (上映会をやってきて)自分の周りにも伝えた方がいいのかと思い始めました。

  渡部先生:松坂市の教育委員会から話をもらって上映会をすることになりました。

Q 作品を作るときは震災のことを振り返らないといけないと思いますが
  作り終わって心境の変化などはありましたか?

A 達成感とともに、自分はまだ「非日常」の中にいるんだなと思いました。
  何も解決できてないということに気づけました。

Q 自分たちが暮らしている場所は汚染されているという事実をどう受け止めていますか?

A (情報がなく)わからないときはパニックになっていました。
  逃げているときには情報統制があって、わかっていたのに隠されたことで小さい子が被曝したり…。
  全てのことに原因があって、それを考えることが大事だと言われました。
  小さい子などが犠牲になるのはイヤだなと思います。

Q タイトルに(仮)とついていますが、今は何を伝えたいですか?
  移住することについてはどう考えていますか?

A これからのことを心配しています。
  いまここにいる方や上映会に来てくださった方は肯定的に見てくれますが
  私は実際にネットの誹謗中傷にあいました。自分の考えも甘かったと思いました。
  (移住の質問に対して)これから高校を卒業して福島以外の土地に行ったときに
  世間の冷たさに直面すると思います。その時に私はどうなるのかと思います。

  渡部先生:批判はあるだろうと思っていました。
       その人の話と分けていかなくてはいけない。
       公に発言したら反応があるものだと生徒に話しました。

Q 九州での3日間の感想はどうでしたか?

A 日本のこれからの課題がみえてきたかもと思いました。
  水俣も長崎の原爆も過去じゃなくて、いままだある問題。
  自分で未来を作っていく努力をして日本を良い方向にしたい。
  九州に来て、メッセージを伝えているけど自分はまだ未熟です。
  自分の周りも変えていきたい。九州に来てよかったと思います。

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ここまでが上映会の内容です。

上映作品の内容、特に『今 伝えたいこと(仮)』については
生徒さんたちの「作品が一人歩きしてほしくない」という考えを考慮し、
公表されているあらすじと当日の解説、一部のセリフのみ掲載しました。
また、生徒さんの発言も個人で分けることはしませんでした。

上映会の感想としては、その内容の凄まじさはもちろんですが
それ以上に生徒さんたちの、原発や放射能汚染に対する受け止め方が印象的でした。
「作品には皮肉も含まれてる」と仰っていましたが、諦観でもなく納得でもなく
怒りや悲しみもちゃんと入っているんですが、あまりにも「キチンと受け止めている」感じがして…。
不安な状況の中で一生懸命に生きている、そういう潔さを感じました。

ワークショップで私は4人の女性と話しました。
年代はさまざまで、そのうちのお一人は関東から移住してこられた方でした。
それぞれに感想を述べたあと、福島の被災者の移住や避難の話になり、
「汚染の状況や放射能の影響を本当にわかっている上で住み続けるのか」
「移住のことはどう思っているのか」という疑問が出てきました。
関東から移住されてきた方は、放射能の影響による奇形児を実際に目にされていて
「とにかく汚染地域から離れなければ」と心配されていました。
一方で、移住や避難が個人の裁量に任されていることが何より間違っているという話題になり
国や行政の責任をあらためて考えさせられました。
いまの状況で、九州にいる私たちは何をしたらいいのか、何ができるのか。
これまでにも考えてきたことですが、やはりこれが問題なんだなあと思いました。

その後、トーク交流会と質疑応答になったのですが、相馬高校の生徒さんは質問に対して、
とても丁寧に、言葉を選んで答えているように見えました。
震災からの多くの体験が彼らをそういう風に成長させているのかなと思い、
「しっかりしているな」と感心する気持ちとともに、若い彼らに重荷を背負わせていることに
大人の一人として申し訳ない気持ちにもなりました。
誹謗中傷を受けた話の際、生徒さんから「自分の認識が甘かった」という発言があり、
「福島の被災地の人間であるということに甘えていたと思う」と言われました。
こういうことを彼らのような若い人に言わせてはいけないと思いました。

作品の中でもですが「今を生きるしかない」と彼らは言っています。
でも本当は未来を夢見たいはずです。
それを出来るようにするのは大人の役目です。

 『今 伝えたいこと(仮)』より

 誰かお願いです!私たちの話を聞いてください!
 子どもの訴えを無視しないでください!!
 今ある現状を忘れないでください!!・・・

震災と原発事故から2年。
世間では「風化させてはいけない」といいながら、
放射能についてだけは国と電力会社とマスコミの力で風化させられてきました。
その犠牲になっているのはこういう若い人たちです。
原発事故や放射能のことを話せない、みんなで考えることもできない、
表面では何事もないかのようにしていても不安を抱えている…
この現状をどうにかできないのでしょうか。
また、相馬高校放送局の作品群にはもう一つのメッセージとして
「安全な場所なんてどこにもない」があると思います。
日本で原発を動かそうとする限り、第二第三の福島原発事故はありえるのです。
私たちはもっともっとこの問題を考えて、自分のこととして取り組んでいかないと
いけないのではないでしょうか。


※映像作品や交流会の内容・発言については簡潔にまとめています。
 うまくメモが取れていない部分もあり、本当はもっともっと響いてくるものがありました。
 機会があればぜひ上映会等に足を運んでいただいて、彼らの声を聞いてほしいと思います。

posted by たむたむ at 22:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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